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♪腐った主と花丸な日々♪  
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The collapsed chain  #1

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※本編・ラストネタバレ・捏造・閲覧注意です 。
どうしてもやっぱり二人に生きていて欲しくてラストを変えちゃってます。ごめんなさい・・(ノ△・。)
またグロテスクな表現を一部含みますので、読まれる場合はご理解の上でお願い致します。
ラスト、二人が生き残った。
そしてせっかく生き残ったのに二人は・・・・な感じのお話です。




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The collapsed chain
ー崩れ落ちた鎖ー
~目覚めの時~
本編・ラストネタバレ・捏造・二次創作・閲覧注意
登場人物一覧




「……リキ」

 真っ暗闇の中、誰かが自分を呼んでいた。

 声の持ち主は労わるように、心配そうに何度も何度も俺を呼ぶ。

 深みがあるその声は、どこか懐かしくてホッとする。

 暗闇に響く優しい呼び声に、導かれるようにして俺は歩き出す。迷わず進んでいくと暗闇の中にぼうっと光が見えてきた。遠くに見える光に追いつこうと手を伸ばした時、俺は力強く引き寄せられ宙を浮いた。



 ……目を覚ますとそこはエオスにあるメディカル・ルームだった。以前、ファニチャーのサイモンにエレベーターで襲われ、運ばれて治療を受けたあの部屋だ。

 自分が置かれた状況をその身に感じ、リキの意識がだんだんとクリアになっていく。

「リキ」

 静かに自分を呼ぶ声の方に視線を向けると、そこにはイアソンがいた。

ベッドに横たわる自分をイアソンは上から覗き込むようにして見ていた。

「……イアソン」

 その言葉が引き金だったように、リキはダナバーンでの一件を思い出した。

――俺たちは助かったのか?

 リキは全身に傷を負っているにもかかわらず、勢いよくベットから起き上がった。

「ガイは!イアソン、ガイは無事なのか?」

  起き上がると全身が軋んだように痛む。だが、痛いなどとは言っていられない。自分より何より、動かなくなったガイが心配だった。

 痛みを堪えベッドから身を乗り出すと、リキはイアソンの腕を鷲づかみにして叫んだ。

 目覚めた途端、ガイの名前を口にするリキを見て、イアソンの怜悧な顔が一瞬歪む。

「ガイはカッツェがスラムの腕利きの医者に連れて行った。生きているそうだ」

  淡々と感情もなくガイの安否をイアソンはリキに話した。

(……生きている……)

 それを聞いて、リキはようやく安堵することができた。イアソンの腕を握りしめていた手から力が抜ける。

「……イアソン、ありがとう。アイツを助けてくれて本当にありがとう。それに、俺を庇ったからあんなことになっちまって……本当にすまない」

 
 あの爆発の際、動かなくなったガイを置き去りにして自分だけこのまま生きていくことはできないと強引にイアソンに頼み込んだ。
ガイを連れてなんとかシェルターから脱出を始めたものの、下腹部の傷がひどく痛み、リキの足は思うようには進まなかった。
 
 やっとの思いで出口に辿り着いたとき、大きな爆発と共に地下シェルター出口の分厚いシャッターが降りてきた。イアソンの後を遅れて歩いていたリキはもうダメだと思った――。

 瞬間、イアソンの叫びと共にリキは引き寄せられ一命を取りとめた。

 助かった――そう思ったリキはイアソンに歩み寄って愕然とした。

 命の代償は大きかった。

 リキを庇ったがために、イアソンの両足は重いシャッターの下敷きとなり、その両足は膝から下が無残にもひきちぎられていた。
動けなくなったガイとイアソンを一人で運ぶことなんてできない。

 そう思った時にダナバーンの外で待機していたカッツェが爆発という異常事態を見て駆けつけた。そしてもう歩くことが出来なくなってしまったイアソンを、カッツェがダナバーンの外へと運んだ。

 ガイを連れてリキもひたすら歩いた。ガイを死なせるわけにはいかない。仲間でありガーティアンの頃から一緒に育った唯一の家族とも言うべき存在のガイを失うことなんて、できない。

 爆発の衝撃による打撲で負った傷とガイに傷つけられた下腹部の痛みに耐えながら、リキは必死に歩いた。ようやくダナバーンの外に辿り着いたところで、痛みと安堵のあまり倒れ込みそのまま意識を失ってしまった。

 あの時、イアソンが本当にガイを助けてくれるとは思わなかった。ガイは自分を拉致し、イアソンの所有物である証のペットリングをリキのペニスごと無理やり切り取って外した。

 タナグラの頂点に立つブロンディーのペットを、この世界ではクズ以下の扱いでしかなかった雑種が横から奪う。前代未聞の事件をガイはしでかした。

 幾重にも施された厳重な警備を施すエオスとは違い、『特例』として認められたアパティアでの事件。

 セキュリティーの甘さがあったとはいえ、盲点を突くやり方でガイはリキをイアソンの管轄下から奪っていった。

 下等なスラムの雑種が起こしたその行為は、イアソンのプライドを傷つけどれだけの怒りをかったことだろう。

 スラムの雑種一人殺したところでイアソンには虫けらを排除したに過ぎない。そうなってもおかしくない状況の中、イアソンは自分の願いを聞き入れガイを担いで助けてくれた。

 それどころか、自分を庇って、大きな傷まで負わせてしまった。

「足、大丈夫なのか?」

「あぁ、ラウールに治してもらったからな」

 ベッドの上から見下ろすイアソンの足は、元通りになっていてそれだけがリキの救いだった。

 自分の甘さがすべての引き金だった。ガイをあんな暴挙に走らせたのも、イアソンの命を危険に晒したことも。まさかガイがイアソンを呼び出して、心中を企てていたとはリキ自身思いもよらなかった。

 もっとちゃんとガイと向き合って話をしていれば、わかってもらえずともここまでの暴挙にはならなかったのではないかとリキは苦々しく思った。


(……ガイ)

 ガーディアンで一緒に育ち、スラムに来てからガイはリキのペアリングパートナーだった。リキがイアソンのペットとなり、三年以上の月日が流れ関係はなし崩しとなり終わってはいたが、それでもガイはリキにとって仲間であり家族だった。

 二人の間には今も切れない絆がある。

(ガイが生きている……)

 ガイがしでかしたことは別にしても、それでも生きていることにリキは感謝した。ガイを思うリキの瞳には涙が滲む。

 イアソンは安堵と歓喜のあまり涙するリキをただじっと見つめていた。

「おまえはあの男を許せるのか?おまえの身体を傷つけたというのに、それでもあの男を許すのか?」
 
 涙ぐむリキにイアソンが尋ねた。

 リキは掌で涙を拭うと節目がちに答える。

「アイツをそこまで追い詰めたのは俺だ。子供の頃からずっと、俺はガイのやさしさに甘えきた。俺はそのツケを返したんだ。アイツだけが悪いんじゃねー。俺がちっぽけなプライドにこだわってペットだった事実をずっと隠していたから……俺がアイツの暴走を止められなかったから……だから」

 必死にガイを庇おうとするリキに、イアソンはいっそう目を細める。

「そんなにペットがイヤだったか」

不意にイアソンがリキに言った。

「何の自由もないペットがいいなんて心から思う奴、いやしねーよ。――ガイに言われて初めて気がついた。これさえなければ……リングさえ外しちまえば、俺は本当に自由になれる、そう思ったのも事実だ。ガイは悪くない。許した俺が悪いんだ」

 自嘲しながらリキが答える。自由などと、それはリキにとって儚い夢に過ぎない。分かっていながらも捨てきれない想いであり願いだった。

 瞳を閉じ、瞑目するようにイアソンはリキの言葉を聞いていた。

 リキの言葉を聞いても詰るでもなく、ガイを責める言葉もなくただ黙ってリキの傍にいた。

 過ぎ去った時間が二人の間に流れる空気を重く染める。

 イアソンとリキ、そしてガイ。良くも悪くも三人が貫き通したエゴがこの事件の結果を招いた。

 押し黙るリキの頬をイアソンはそっと撫で上げると、前髪に己の指を絡ませた。心も身体も傷ついたリキを労わるように、何度もその髪を撫でる。

 自分の髪を優しく撫でるイアソンに、リキはなぜかホッとする。

 全てが元通りと言うわけにはいかないが、事件は終わった。

 ガイも無事にスラムに戻され、イアソンの足も元のように戻された。

 瞳を閉じてリキはイアソンから与えられる心地よい刺激に浸った。

 ガイに拉致されてからずっとざわついていた気持ちが落ち着きを取り戻していく。

「リキ……どうであれおまえは被害者だ。ラウールに治してもらうがいい」

 艶やかなリキの黒髪をひとすきするとイアソンの指は離れていく。

 離れていくイアソンの指を感じ、リキが再び目を開けると扉の方へと向かうイアソンが見えた。

 治療を終えたばかりのイアソンの足取りはまだ少しぎこちなかった。

「アンタもな、イアソン」

 リキは小さな笑みを洩らしてイアソンに声を掛ける。

 リキの言葉に優美な金髪を揺らしてイアソンが振り返った。

 いつも威厳に満ち溢れているイアソンの蒼眼が一瞬影を帯びる。振り返ってリキを見るイアソンの顔は、今まで見たことがない暗い影を落としてリキには映った。

 その表情を見て、笑みを浮かべていたリキの顔が一瞬強張る。

(……えっ)

 イアソンはそのまま何も言わずに身体を元に戻すと、扉から出て行った。

 大きな背中がらしくないほど寂しげに映った。なぜかはわからない。ただこの時、リキの野生が今までと違う何かをイアソンに感じた――。




※2015年3月8日 池袋サンシャインJ.GARDEN38 
↑この話の一年数か月後、二人が恋人同士になった後の話(漫画)二作品で参加しました。

全年齢のB5オフセット本見本↓
『Dream like reality』-夢のような現実ー
『Promessa』-約束ー
↑これの同人本制作過程 2016年現在進行中
8月17日 東京競馬場への拍手ありがとうございました(☉∀☉)v
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[ 2012/08/23 09:00 ] 二次創作一覧 小説 | TB(-) | CM(-)
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