2017-08-11(Fri)

醒めない夢


The collapsed chain
ー崩れ落ちた楔ー 番外編
~醒めない夢~
第一話
 俺は走る。

 何もない真っ暗な道をただひたすら走る。

 暗闇はどこまでも続いていて、前後左右も闇だ。

 自分が何を目指して走っているのかもわからない。もしかしたら何かから逃げているのかもしれない。

(なんで、どうして・・・・・・)
 
 それだけが自分の心を覆い尽くす。 疑問だらけの疾走の中、前方にボワッと光が見えた。
 
 暗闇に浮かぶ金。 全てを照らす輝く光。
 
 俺はそれを求めるように光の方へと走っていく。 光が近づくにつれ、ただ漠然と走っていた自分の記憶が呼び起こされる。
 
 腰まで届くほど長いプラチナブロンドの髪を持つ男。いつだって真っ白で、潔白で凄艶で。

 光を纏った男の後ろ姿しか見えないのに、自分はその男の顔を知っていた。
 
 視線だけで自分を捕えてしまえる男。
 
 あぁ、そうだ。俺はコイツを探して走っていたのだ。
 
 リキはゆっくりと思い出す。

 自分を捕えて離さなかった主人。自分から全てを奪い、そしてかけがえのない存在になった男。
 
 前方に佇む男に向かってリキはその名を叫ぶ。

「ーーイアソン!」




・・・・・・気がつくとそこは見慣れたベットの上だった。

(・・・・・・?)

 目を開けるとそこには暗闇などなかった。自分を取り巻いていた闇の冷たさもない。スラムにあるコロニー、見飽きるほど何もない自分の部屋。

 ベットから上体を起こしたリキは周りを見渡すと溜め息をひとつつき、右手で自分の額を抑えた。

(・・・・・・夢・・・・・・?)
 
 自分をとり巻いていた暗闇もなければ、追いかけていたはずのプラチナブロンドの男の姿もなかった。
 
 この部屋には自分以外、誰もいない。

 聞こえてくるのはセキュリティロックの僅かな電子音と自分の息づかいだけだ。

 こめかみを握りしめ、リキは苦痛の表情を浮かべる。夢の中の気持ちがそのまま今の自分に残っている。
 
 ブロンドの男、イアソンを見つけリキの心は昂った。
 
(見つけた、やっと見つけた!)
 
 胸が締め付けられるように震えた。
 
 暗闇の中の光、イアソンを見つけたとき自分は安堵の吐息を洩らした。けれど・・・・・・それは夢であり現実などではない。

(・・・・・・いねーじゃねーかよ!アンタはここにいねーじゃねーかーー)

 リキは唇を噛み締めて、堪える。

 あと少しだった。 あと少し手を伸ばせばイアソンに辿りつけたのに、自分の手は届かなかった。

 いつもそうだ。夢の中、イアソンを見つけても自分はイアソンに辿りつけない。 そんな夢をもう何度見ただろうか。

 イアソンに手を伸ばして捕まえようとする瞬間、イアソンは自分を拒絶するように跡形もなく掻き消えてしまう。
 
 夢も現実の世界でももう自分はイアソンに辿りつけないーー。
 
 そんな余韻を残すようだった。
 
 イアソンはいない。どこにもいない。自分をスラムに置いて、その存在をかき消すようにいなくなってしまった。
 
(なんで、どうして!)

 どんなに叫んでも自分の言葉はイアソンには届かない。探しても探しても存在の痕跡すら掴めなかった。

 悔しくて、悲しくて・・・・・・・寂しくて、リキは何度も泣いた。

 自分がイアソンから離れることなどないと思っていた。

 イアソンが自分を呪縛する限り、自分はイアソンの傍に居続けるしかないと・・・・・・。

 そんな約束、したわけでもないのに。
 
 ドン!

 リキは拳を振り上げてベットを叩く。何度も何度も両手でベットを上から叩きつけた。

「・・・・・・なんでだよ・・・・・・なんで俺を・・・・・・俺を手放すんだよ・・・・・・」

 たったひとり、置き去りにされた心は限界点にきていた。永劫続くと思われた呪縛を解かれ、まっさらな自分に戻されて気づく。
 
 その鎖を欲していたのは自分だった、と。
 
 自由を奪われ、尊厳を奪われ・・・・・・すべてを奪われながら自分は欲していた。
 
 もっと俺を欲しがれ・・・・・・。
 
 自分を欲しがるイアソンを見ていたかった。

 あの氷のような表情をする男が、自分だけを欲し自分だけを求めて叫ぶ姿を俺は見ていたかった。
 
 そこには永遠の誓いがあった。死しても変わらない想いがあった。
 
 俺はそれを・・・・・・手放したくなかったんだ。

 ・・・・・・っう。
 
 リキの瞳に一筋の涙が光る。
 
 お願いだ。この世界に神がいるのなら俺は何でも差し出す。
 
 アイツを・・・・・・イアソンを返してくれ。
 
  アイツ以外の何者もいらない。アイツさえいれば、俺は・・・・・・。

 ーー俺はアンタを・・・・・・。

 この手にアイツを・・・・・・戻してくれ・・・・・・。


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J庭38、二次漫画用の配布でした。 漫画内容のおよそ半年前のリキ。若干違うかも^^;
そろそろスパークのことも考えなきゃ・・・と思って引っ張り出してきました。この話の本編ss本、5冊ほど刷る予定ですが、
もうずっと放置してて、奥付だけ直してそのまま出せばいいかなぁ(;´艸`)ぁぁぁ 自分用の本なのでいつでもいいんだけど、
まとめてから既に1年以上経過してて区切りをつけるためにもスパーク前には刷りたいと思います。(多分)

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